2013年10月21日月曜日

脳神経外科学会総会で演題発表しました

 籬 拓郎

横浜で開催された脳神経外科学会総会で16日演題発表をしてきました.

内容は『抗凝固療法中の頭蓋内出血発症例の臨床的検討-抗凝固療法中止時の脳梗塞発症,抗凝固療法再開を含めて』です.

心房細動等で抗凝固療法施行が増加傾向ですがそれに伴い頭蓋内出血の発症も増えてきています.演題は抗凝固(ワーファリン)施行中に頭蓋内出血について外傷性,非外傷性とも分析したものです.
結果はやはり悪く,全体では死亡率22%で転帰不良(mRS 3~6)が62%,慢性硬膜下血腫を除いた例では死亡率27.5%でした.特に非外傷性頭蓋内出血で予後が悪く死亡率32%で抗凝固を行っていない例と比較して有意に高い結果で,転帰不良は73%でした.外傷性では有意差はありませんでしたが死亡率22%であり外傷の原因が転倒など比較的軽微であることを考えると死亡率は高い結果でした.
また,出血後抗凝固療法中止中に10%が脳塞栓を発症し死亡率40%,全例が転帰不良の結果でした.抗凝固療法再開後は慢性硬膜下血腫の増大が一部みられましたが脳塞栓発症や著しい再出血はみられませんでした.

今回の検討では抗凝固療法中の頭蓋内出血は非常に予後不良である結果でした.今後新規抗凝固薬でこれがどう変化していくか追跡していく必要があります.また見逃されがちですが外傷性頭蓋内出血についても注目していく必要があり,今後転倒の危険度等も踏まえたリスク管理を行っていくべきだと考えました.また抗凝固療法再開についてはcontroversialですが塞栓のリスクの高い例では早期に抗凝固を再開すべきと思われる結果でした.







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