2013年10月2日水曜日

抄読会より 注目論文 脳出血について

抄読会より. 籬 拓郎


皮質下出血に対する早期手術的治療と保存的治療との無作為試験です.

Eerly surgery versus initial conservative treatment in patients with spontaneous supratentorial lobar intracranial haematomas (STICH II): randomised trial
Mendelow AD, et al. Lancet 382, 397-408, 2013

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0140673613609861

(まとめ)
27ヶ国,78施設での多施設共同研究で,発症から48時間以内,血腫量10~100mlのテント上皮質下出血を早期手術群と保存的治療群で比較.
601例中早期手術群が307例,保存的治療群が297例で,6ヶ月後転帰不良が早期手術群で59%,保存的治療群で62%.
早期手術で死亡または6ヶ月後機能障害率は上昇しない結果であった,また生存について早期手術群で小さいが有利な結果であった.


早期手術群と保存的治療群で転帰に有意差はない結果ですが読んでみるといろいろ面白い点がありました.
①保存的治療群に割り当てられた例のうち21%で手術が必要となっている(大部分は意識レベル低下や脳浮腫).ただし研究デザインからこうした例も保存的治療群として解析されている.逆に早期手術群で手術を施行しなかったのは4%(家族の拒否など).
②予後スコア(GCS×10-年齢-0.64×血腫量) が低い(つまり予後不良)ものでは予後スコア高いものと比較して手術群で有意に予後良好.
③手術群で有意ではないが重度障害が少ない(よくいわれる手術で死亡は減るが寝たきりを増やすというわけではない).

医療ニュースやアブストラクトだけでは分からない内容が多々あるので重要な論文はきちんと全体を読まないといけないということを再確認(反省)しました.





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