2013年8月号の脳神経外科ジャーナルについて(感想など)
下記より転載
http://trymagt.blogspot.jp/2013/08/8-wt1-subtype-csdh-csdh-csdh-simple.html
8月の『脳神経外科ジャーナル』の特集は“グリオーマ 新しい時代の到来”でした.
悪性グリオーマ治療ではつい先日ベバシズマブが保険適応となりましたがさらに先進的な治療についてレビューされています.
分子標的薬について田中先生の「アメリカにおけるグリオーマの最新治療―神経膠芽腫に対する分子標的薬を中心に― 」 ,粒子線治療について宮武伸一先生の「腫瘍細胞選択的粒子線治療「ホウ素中性子捕捉療法」抗血管新生薬による症候性脳放射線壊死の治療」,免疫治療として橋本先生の「悪性グリオーマに対するWT1ペプチドワクチン療法の現状と展望」が分かりやすくまとめてくださっています.
さらに,特に分子標的薬と関連しますがその基礎となるグリオーマの遺伝子異常について園田先生が「神経膠腫発生に関与する遺伝子異常 」として講義してくださっています(難しい…).
もちろん悪性グリオーマの治療に未だ決定打はありませんが今後あるsubtypeの症例については予後が改善していけるのかと期待を感じました.
他に一般脳外科医の誰もが日頃から頭の片隅に引っかかっていると思われます慢性硬膜下血腫(CSDH)と抗血栓治療との関連について,對馬先生の「慢性硬膜下血腫再発における手術法と抗血栓療法に関する検討」の原著がありました.失礼かもしれませんがざっくりいうとCSDHの再発は増える傾向となるが抗血栓治療の中断による血管イベントのリスクからは術後早期に抗血栓治療を再開すべき,抗血栓治療中(特に抗凝固療法)のCSDHでは穿頭洗浄よりもsimple drainageのほうが再発は少ない,といったところでしょうか.
特集http://jcns.umin.jp/meeting/jornal.html
グリオーマ 新しい時代の到来*
[担当]廣瀬雄一,吉本幸司
神経膠腫発生に関与する遺伝子異常 / 園田順彦, 他
アメリカにおけるグリオーマの最新治療
―神経膠芽腫に対する分子標的薬を中心に― / 田中將太, 他
覚醒下手術の現状と課題 / 丸山隆志, 他
腫瘍細胞選択的粒子線治療「ホウ素中性子捕捉療法」と
抗血管新生薬による症候性脳放射線壊死の治療 / 宮武伸一
悪性グリオーマに対するウイルス療法 / 伊藤元一, 他
悪性グリオーマに対するWT1ペプチドワクチン療法の現状と展望 / 橋本直哉, 他
原著
慢性硬膜下血腫再発における手術法と抗血栓療法に関する検討 / 對馬州一, 他
症例報告
先天性眼窩海綿静脈洞巨大血管腫の1例
―外科的治療方法と時期,待機中の内科的治療― / 藤森健司, 他
神経放射線診断
体位,嚥下により繰り返す神経症状を呈した病変 / 森田健一, 他
https://www.miwapubl.com/products/detail/1476
籬 拓郎
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